ARCHIVE 2010 January
飽くなき探求の時間
January 30, 2010
昨日『能』を初めて観た。演目は『三番叟』といわれるもの。能のなかではストーリーがないものだが、一番神秘的で、霊的なものらしい。そして、実際自分が感じた事もそのような事だった。演舞が始まった瞬間から一気に会場を支配する緊張感、そして静寂。鳴り響く笛の音、鼓の音、かけ声、それらが引き起こす空気の揺らぎ。一瞬にしてどこか異次元へ引きづり込まれた感覚。無駄の無い動き。滑らかに滑る様に、そして時には激しく飛び跳ね、羽の様にはらりと舞い降りる。全てが連鎖して静寂を一気に切り裂く。そしてまた静寂へ。観るものの瞬きすら許さないような緊張感。時間にして30分くらいだったが、その間、瞬きをするのを忘れていたような、時間軸を軽く飛び越えたような感覚。明らかに自分の躯が緊張していたし、とてつも無く集中していた。そして演舞が終わった時の会場の拍手の音で我に返ったような感覚になった。とてもとても不思議な感覚だった。
美術館へ芸術を見に行くような、そんな意識とは全く違った、何か新しい感覚。この未体験ゾーンへのダイブはとても大きな経験になった。
しかしながら、この「能」の演舞はサプライズであって、本題は、野村萬斎氏、中沢新一氏、杉本博司氏による「依代」をテーマにしたトークショー。何かのファクターを介して霊的な物を躯に入れる。その為のマトリックスを「依代」と言うらしい。例えば、能を舞う時にいただく面や、舞台の後ろに描かれている松。実際「三番叟」を舞っていた時に萬斎氏は翁の面をつけていた。そう言った話は中沢氏の「精霊の王」を読んでいたので、自分にとっては正にピンポイントで心躍った。
そして、千何百年前に生まれた芸術、芸能が今日も生き残り続けている、そういった、人間と死者、霊的な物、自然を繋げる役割のある能は現代にとっても重要な芸術、芸能であるとおっしゃっていた。杉本氏は「国が文化、芸術などに関わっているが、その関わり方が中途半端なんだ!!」と叱責されていた。「もっとレベルの高い精神で向かわないと駄目だ」等々。本当にとても面白いトークショーで、本当に昨日の体験は自分にとって大きなものとなった。体験した人にしか解らないこだが、体験することは誰にだってできる。どこまで自分の精神レベルを高みに持って行けるか、所有する事ばかりに執着してしまっては、人間と自然を繋げる事さえも忘れてしまうんではないかと思った。

- これも1月23日の夜高みへ登っていく、飽くなき探求の時間の最中に生まれたコトニー。thanxx!kass1&kozzy
- show more photos







