昨夜は不思議な夢を観た。
実家で飼っている犬とものすごく楽しく戯れている夢だ。
彼女はもう目も見えなく、足の筋力も衰えて歩く事も困難な状態だ。
なのにどうだ。実家に帰った僕をありったけの喜びを表すように
しっぽを振って寄ってきてくれた。
僕もそれに答えるように抱きついた。
でもよく見ると目が真っ白で、あばらは浮き出てて、やせ細っていた。
それでも全身で喜びを表現してくれる彼女。
ものすごく喜びに満ちた瞬間を夢の中で僕は得た。

今朝の事だ。
母親から一通のメールが携帯に届いた。
彼女の死を知らせるものだった。
去年の春過ぎ頃からだんだんと体調の悪化を知らされていた。
従兄弟の葬式の為に初夏に大阪に帰った時にはもうすでに
頭をかしげた状態でフラフラとしていた。
正月に帰った時にはもう耳も殆ど聞こえないし、目も悪くなっていた。
それでも僕が帰ると出迎えてくれた。
彼女が僕の家に来たのは16年前だ。
16年の間にどれだけの事をしてあげれただろうか。
それでも僕を嬉しそうに出迎えてくれていた。

僕が自分のカメラを手にしたのは19歳の時。
それから6年間、彼女は僕の被写体となった。
世話も親任せにしていたせいか、
カメラを向けてもめんどくさそうにしていたんだ。
それでも僕は撮り続けた。
僕が東京へ出たのは彼女が14歳の時。
すでに死が近づいている事は察していた。
東京へ出る際には彼女の死に目には立ち会えない事は覚悟していた。
だから、実家へ帰る機会があれば、フィルムのほとんどを
彼女へ費やした。それがせめてもの僕の償いなのだろう。
少ない時間を夢中になって撮り続けた。

例えば身内が亡くなったとき。
僕はそれほど感傷的になる事がなかった。
じいちゃんが死んだ時も、従兄弟が死んだ時も。
でも彼女が死んだときは違った。
何かとてつもなく大きな何かが僕の中から消えていった。
小4の春に友達の家から帰るととても小さな彼女が玄関で眠っていた。
兄貴が拾ってきたのだ。
名前も既に「さくら」とつけられていた。
桜の季節に家族の一員となったし、鼻の周りが桜色だったからだ。
あれから16年。
年を追うごとに鼻の周りの桜色も白く薄れてきて
成長を感じさせられた。
16年だ。これほどまでに長い時間を一緒に過ごしてきた命だ。
それが一瞬で僕の手の中から逃げて行った。
生きている間に当たり前となっていた命が
ほんの一瞬のことでこれほどまでに尊いものに変化してしまった。
家族の一人が亡くなった。
これは断固として誇張した表現ではない。
24時間365日。
これほどまでに長く一緒に生きてきた命だ。
この悲しみも時が経てば長い人生の中で起こった
1つの出来事にしかならないんだろうか。
いや、違う。
僕は彼女の事を忘れたくはない。
死に目に会えなくとも
最後の最後に夢にまで出てきてくれた。
僕の写真のなかでは生きているんだ。
これは僕に与えられた使命なんだ。

こうやって彼女の死を思いのままに文章にしたって
僕の中では消化されることはない。
僕は写真家だ。
今まで撮った写真をまとめて初めて
彼女への弔いが出来ると思っている。

桜の季節にやってきて、桜の季節に去っていいく。
なんて幸せな生き方だったのだろうか。

死をもって命を感じる。
ありがとう。

そして
さようなら。

CATEGORY :

VOICES [4]

VOICE

from paze

そうゆうことってほんとにあるんやな!!
夢見るってとこ。

私も最近友達が亡くなりました。
小学校の同級生でこの正月に初めての同窓会して
これからおもろくなりそうってみんな思ってた矢先でした。

でもこのお正月に同窓会できたのは
良いタイミングやったんかも。。。

うまくゆえんけど
縁とゆうのは大事にしようと思いました。

07:20 PM - April 5, 2009

from KASS1

会ったことはないけど、君の写真でよく見ることがあったさくらには、少なからずの親近感がありました。
命の尊さによって知らされる諸行無常の響きは、今生きている者への力に変わると思います。
彼女からもらったものを、この先多くの人に伝えていける写真家になって下さい。

09:22 PM - April 5, 2009

from BABYSTAR

paze
なんでしょうね。
取り返しのつかない事が起こってから
あぁもっとこうしとけば…と思ってしまう。
過去はどうする事も出来ないのに。
どんなにそのとき満足しても
ぜったもっと出来たのにってなる。
未来は明るいはずなのに。

それが成長するってことですかね。

11:15 PM - April 6, 2009

from BABYSTAR

KASS1
人間以外の動物って不思議です。
言葉がしゃべれない分
相手を理解しようとするし、
気持ちを通じ合わせたいとおもう。

そういうやりとりをしてきたからこそ
命の尊さを感じるんですかね。

日に日に寂しさは薄れて行きますが、
思い出は薄れません。

11:18 PM - April 6, 2009

YOUR VOICE

 [ You can use HTML tags for style. ]
  • Shinya Suzue
  • Photographer
  • 1982, Osaka
  • Tokyo
  • Mail